ランニングシューズの疑問 ~一番上の二つの穴~
ランニングシューズを履くときに一番上(足首側)に二つ穴がある事に疑問を感じたことはありませんか?
ランニングシューズの種類にもよりますが、多くのランニングシューズ、スニーカーに二つの穴がついています。
二つ穴は間隔が狭く何のための穴かわからずにいる人も多いのではないでしょうか。
一度ひもを通そうとすれば微妙な結び方になり、ひもも長さが足りなくなってしまいます。しかし、この二つの穴は、ランニングをする時にとても重要な役割を果たしています。
一番上(足首側)の二つ穴の起源
この二つの穴は、1980年に「アシックス」が「実用新案」として出願し登録されました。
実用新案とは、物品の形状、構造又は組合せに関するアイデアです。特許のようなものでしょうか。
現在では、「実用新案」で保護される権利は期間終了しているため、他のメーカーでも使用できています。
アシックスによると、この二つの穴は「2段ハトメのシューレーシング」(ハトメ=ひもを通す穴)と呼び、
シューズを履いて、かかとが浮くような感覚がある方、足幅が細い方、甲が低い方に2段ハトメのシューレーシングを使用して欲しいとて紹介しています。
2段ハトメを用いて靴ひもを締めると、足の踵と靴のヒールカウンターがしっかりと固定されます。足部が安定することで、スポーツ障害・外傷を予防し、パフォーマンスを高める効果も期待できます。
一番上(足首側)の二つ穴の使用方法
一番上(足首側)の二つ穴を正しく使用する方法の例
・靴ひもを通すとき、一番上(足首側)の一つ目の穴までひもを通し、下から上に出す。
・一つ目の穴からでたひもを、隣の穴に上から下に通して小さな輪をつくる。
・もう片方も同じように輪をつくる。
・輪の中へ反対側のひもを内側から外側に通す。
・輪の中を通ったひもを上方向へギュッと引き上げ、足首周囲を締める。
・このあとは通常通り靴ひもを結ぶ。
引っ張り締め上げる
足首側の二つ穴はこのように使用して輪を作って、ひもを通して足首、かかと締めることができます。
この二つの穴を使った靴ひもの結び方を「ヒールロック」や「レースロック」と呼ぶ人もいます。
紐の通し方
一番上(足首側)の二つ穴の効果
一番上(足首側)の二つ穴の効果は、穴を正しく使用することで、フィット感、かかとの固定、ひもじめの効果があります。
靴ひもはつま先(先端)側から正しく締めるだけでも安定しますが、一番上(足首側)の二つ穴を使用すると足首ががっちりロックし靴が足と一体化したような感じになります。アシックスによると「タイトなフィット感と高いひもじめ効果が得られる」とされています。
2段ハトメ結びをすると、足首周囲がぎゅっとしまり、走るとき、歩くときの安定感がアップします。普通に結んだときとは全く違う感覚で、靴を履いていないような感覚さえしてきます。かかとよりにしっかり固定される状態 になるので、つま先がシューズの先で圧迫されることもなくなります。つま先で指のトラブルをよく起こす人にこの結び方をすると解消するかもしれません。
注意事項としては、あまり強く紐を引っ張りすぎないように気を付けましょう。強く紐を引っ張り結んでしまうと足の甲が痛くなりますので、ほどほどの”緊張感”で結ぶようにしてください。
2段ハトメ結びがおすすめな方
- シューズのかかとが浮くような感覚がある方
- つま先のトラブルが多い方(痛んで真っ黒になってしまう方)
- 足幅が細い方
- 甲が低い方
2段ハトメ結びのメリットとデメリット
2段ハトメ結びは、足が全体的に細く靴紐が長く余ったり、靴のフィット感が足りない人に向いた結び方です。正しく紐を通せば、フィット感、かかとの固定、ひもじめの効果があり、ランニングを行う上でとてもメリットとなります。しかし、足甲が高い方がこの結び方を行った場合、長時間履き長時間ランニングを行うと痛みが出る事があります。
靴紐が解けてしまう場合の対策
ランニング中に靴紐が解けてしまう事が多い人には、結び方の対策もありますが、先ずは靴紐を変えてみる事も試して見てはいかがですか?
いくら硬く蝶々結びをしてもほどけたり緩んでしまう場合には、ランニングシューズを購入した時に付いている靴紐を綿100%の靴紐に変えると解けにくくなります。
通常、ランニングシューズを購入したときについてくる靴紐は、ポリエステルなどの化学繊維の靴紐です。比較的つるつるしていて解けやすいそざいです。これを綿100%の靴紐に変えると、綿のシワができやすい性質からほどけにくくなります。
靴紐の結び方
靴紐の結び方にはいくつか種類がありますが、一般的な方法としては以下の通りです。
耳結び法
- 靴紐の両端を持ち、交差させて結び目を作る。
- 結び目の上下にできたループ(耳)を持ち上げ、また交差させて結び目の中に通す。
- 結び目を引っ張ってきつく締める。
バニーパーティー結び法
- 靴紐の両端を持ち、交差させて結び目を作る。
- 交差した部分をまた交差させて、結び目の下側から通す。
- 結び目を引っ張ってきつく締める。
フランス結び法
- 靴紐を二つに折って、両端を持つ。
- 折った部分を靴の穴に通し、左右の両端を引っ張って長さを揃える。
- 右側の両端を左側の靴紐の下に通し、左側の両端を右側の靴紐の下に通す。
- 両端を持ち、交差させて結び目を作る。
- 結び目を引っ張ってきつく締める。
以上が代表的な靴紐の結び方です。結び目が上手くできない場合は、靴紐の長さを調整してみると良いでしょう。
実用新案
この2段はとめは、1980年にアシックスが「実用新案」として出願、登録しています。(この登録によって保護される権利は期間終了しています。)
※実用新案とは、物品の形状や構造、組合せに関するアイデア、考案の保護の事です。保護の対象となる考案の生産、使用、販売などを独占でき、特許庁が発行する実用新案技術評価書ん届出をすれば権利侵害者に対して差し止めや損害賠償を請求もできます。この権利期間は出願から10年です。特許に比べ無審査で、迅速・安価に登録が可能です。
ランニングシューズの手入れ
ランニングシューズの手入れの方法について簡単に紹介します。
使用後の保管方法
ランニング等でシューズを使用した後は、汚れを落として清潔な状態を保ちたいものです。しかし、毎回ランニング後に水洗いすることは実用的ではありません。
そのためランニング等で使用後はにおい対策、汚れ対策として、保管場所、保管方法に注意下必要となります。
基本的にランニングシューズは高温多湿な状態が好ましくありません。ランニング等でシューズを使用した後は汗などで湿気を帯びていますので、そのまま袋に入れたり、下駄箱にしまったりするとにおいの原因となったりシューズを傷めてしまう原因となってしまいます。
シューズを使用した後は、毎回風通しのよい日陰で乾燥させることが大切です。
しっかり乾燥させた後に、下駄箱にしまう時には、下の段の方で保管するより上の段での保管をおすすめします。下の段の方が湿気がたまりやすいからです。
ランニングシューズの洗い方
ランニングシューズをどんな頻度で洗っていますか?
ランニングシューズに限らずスニーカーなどの靴は、洗わないと臭いや汚れが気になるようになります。
雨の日に履いたり、土の上で履くことで汚れたり、汗をかいたり、雨でぬれたりして雑菌が繁殖し臭いが気になったりします。
洗わないで履き続けることも可能ですが、気持ちよくランニングを楽しむためにも定期的にランニングシューズを洗うこと、メンテナンスをすることも大切ではないでしょうか。
また、上手に洗ったり、メンテナンスをすることでランニングシューズの寿命も延びます。
ランニングシューズの洗い方の例を紹介しますので是非参考にしてください。
洗い方
ランニングシューズは、汚れを落とし清潔な状態を保つことが大切です。
ランニングシューズを毎日水洗いすることは現実的ではないので、日常的には使用後の保管場所が重要となります。
使用後のシューズは汗などで湿気を帯びていますので、すぐ下駄箱にしまったりしないで、風通しのいい日陰で乾燥させることが大切です。
洗い方は、初めに靴紐を外し、インソールが取り外せるタイプのものは外して別に洗います。
シューズはシューズ用の洗剤又は、中性洗剤を溶かした水(ぬるま湯)に浸しながら、たわしやなどでこすって汚れを落とします。汚れが落ちたらよくすすぎ日陰で乾燥させます。
ミッドソール部分のクッションや接着の部分は熱に弱いため、乾燥機やドライヤーでの乾燥は靴にダメージを与えてしまいます。
ランニングシューズの各部の名称
アッパー
アッパーは靴の底(靴底)を除いた上の部分をいいます。主に甲、腰、踵部分からなる部分の総称で甲被(こうひ)とも呼ばれます。
アッパーの素材には、通気性を良くするためにメッシュ素材を使ったものや、耐久性を上げるために皮革素材、耐水性を上げるための素材など靴により、様々な素材を使用しています。
アッパーの素材や形状によってフィット感が変わるため、靴を選ぶ時には十分検討する必要がある部分です。
ソール(Sole)
ソールは、靴の内側の底や地面に触れる靴底のことで靴の裏の部分をいい靴底の総称です。一般的にはインソール、ミッドソール、アウトソールに分けられます。
インソール
靴の内側の底(中底)のことを言います。(後から入れる中敷きをインナーソール)。足への衝撃、疲れを軽減したり、サイズの微妙な調整を行えます。クッション性やフィット感を高める素材が使われています。
ミッドソール
インソールとアウトソールの間(中板)のことを言います。種類により衝撃吸収性(クッション性)や履き心地などが変わってきます。衝撃吸収剤、ジェル素材、ガスを充填する技術を使用しています。
アウトソール
地面に触れる部分(本底)のことを言います。硬さや種類により、グリップ力、安定感、耐摩耗性などが変わってきます。主にゴム製と革製の素材を使用しています。
先芯
先芯は、靴のつま先に挿入されている芯のことです。革・布・紙など様々な素材があります。
ヒールカウンターとプルストラップ
タン
シューレースとシューレースホール
まとめ
一番上(足首側)の二つ穴は「アシックス」が考案したあなで、靴を履いたときに、足首をよりロック(締め付け固定)するために
使用する穴です。この穴で輪を作り、この輪に反対側のひもを通してひもを引くことで足首周囲を締めることができます。
ランニングをする人、しない人問わず知らなかった人は是非一度試してみてもらいたいと思います。
想像以上に、くつのフィット感を味わうことが出来ると思います。