ランニングと食物依存性運動誘発アナフィラキシー
食物依存性運動誘発アナフィラキシーを聞いたことはありますか?
ランニングやマラソン をする人に限らず、運動をする人は知っていて欲しいアレルギー反応ですのでぜひ参照してください。


Contents
食物依存性運動誘発アナフィラキシーとは
食物依存性運動誘発アナフィラキシー(food-dependent exercise-induced anaphyraxis: FDEIA)とはある特定の食品を食べた後、数時間後に運動すると急激にアレルギー反応が起こり、アナフィラキシー・ショックを起こす事をいいます。運動の強さは、ランニング、バスケ、サッカーなどの激しい運動により引き起こされることが多いと言われていますが、激しいものだけとはかぎらず、散歩や入浴などの軽い運動や動作でも起きることがあります。
この食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、比較的重症度が高く、全身のじんま疹や呼吸困難、血圧低下、意識障害などの重篤な症状が高頻度に生じます。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因
食物依存性運動誘発アナフィラキシー誘因となる食べものだけではアナフィラキシーの症状は起きず、食べた後にランニングなどの運動を行うことで出現するアレルギー反応です。食品と運動の2つの要素が重なる事で起こります。運動をきっかけに細胞からヒスタミンが放出されることで起きると考えられています。
誘因となる食物は小麦関連製品が多いといわれています。
男性に比較的多く、男性は女性に比べ1.5倍に起こりやすいと言われています。特に10歳代の男性に好発すると言われています。
原因食物
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因(誘発)となる食物は、小麦(60%)、エビ、イカ、カニなどの甲殻類(30%)で、その他には、果物やナッツ類が原因になることもあります。


食物依存性運動誘発アナフィラキシーの発症時の運動
食物アレルギー診療ガイドライン2016によると、食物依存性運動誘発アナフィラキシーを発症した時に行っていた運動は、球技(38%)やランニング(28%)が多く、次いで歩行、自転車、水泳、ゴルフとなっています。
特に10歳代の男性に好発するとあるため、学生の部活時に発症が多いのではないかと推測できます。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーを悪化させる状態
食物依存性運動誘発アナフィラキシーを悪化させる可能性は、体調、気象条件、自律神経、花粉症、薬物などがあるといわれています。
- 体調は、疲れや睡眠不足、風邪、生理などが関係します。
- 気象条件は、温度や湿度の変化が関係します。
- 自律神経はストレスが関係します。
- 花粉症は、摂取した野菜や果物に花粉に対する抗体が反応することに関係します。
- 薬物などは、解熱鎮痛薬の成分、アルコールが関係します。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの症状
非常に強いアレルギー症状が短時間に引き起こさされて、全身のじんましんなどの皮膚症状やむくみ、せき込み、気道の狭窄による呼吸困難などが出現します。
症状が現れた人の約半数は血圧が低下や意識障害などの症状を起こすと言われています。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの対策
運動前にはアレルギー反応の原因となる食物を摂取しない事と、アレルギー反応の原因となる食物を食べてから2時間は運動を避けることである程度の予防は可能となります。
もし、皮膚の違和感や蕁麻疹などの症状が出現した場合は、運動を中止し休憩する事と、症状が悪化した時のために他の人を近くに呼び何かあった時のために備えることも大切となります。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーが起こったら
運動時に蕁麻疹、皮膚の違和感などや、いつもと違う息苦しさを感じたら運動を中止して様子を見たり、必要に応じて医療機関へ受診する事が大切となります。
症状が起きてしまった時には抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイド薬を服用し、安静にすることが必要です。

食物アレルギーの主な症状
食物アレルギーの症状は特定の食物を食べた後に、皮膚症状、粘膜症状、呼吸器症状、循環器症状、消化器症状、神経症状、全身症状などの症状があり同時に出現したり別々に出現したりします。このなかで、皮膚症状はいちばん出現頻度が高いと言われています。
主な皮膚症状、粘膜症状
- 眼の充血、眼の周りのかゆみ、涙目
- 口腔、唇、舌の違和感や腫れ
- かゆみ、蕁麻疹、むくみ、赤くなる、湿疹
呼吸器症状
- せき
- 鼻づまり
- 呼吸困難
- 呼吸音がぜーぜーしたりヒューヒューする
循環器症状
- 血圧低下
- 意識障害
- 頻脈(脈が早くなる)
消化器症状
- 嘔吐
- 下痢
- 血便
神経症状
- 意識障害
全身症状
- アナフィラキシー
まとめ
食物依存性運動誘発アナフィラキシーの存在を知っておくことで、運動時のアレルギー反応様症状に対し早期に対処できます。アレルギー体質の人は特に知っておくといいと思います。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーはある特定の食品を食べた後、数時間後に運動すると急激にアレルギー反応を起こしたり、アナフィラキシー・ショックを起こす事をいいます、ランニングなどの運動時に、蕁麻疹、皮膚の違和感などや、いつもと違う息苦しさを感じたら運動を中止して様子を見たり、必要に応じて医療機関へ受診する事が大切となります。