ランニング中のトラブル〜熱中症〜
熱中症はランニング中に限らず、いつでもどこでもだれでも、条件次第によりかかる危険性があります。熱中症の知識と正しい予防方法を知り、普段から気をつけることで熱中症は防ぐことができます。
ランニング中を含め、熱中症にならないように、熱中症についての知識や予防方法など紹介します。
熱中症とは
熱中症は日射病や熱射病などをまとめた総称で、暑さなどにより身体が適応できなくり、体温調整や血液の巡りの異常により生じるさまざまな症状をいいます。
吐き気、筋肉痛、めまいやけいれんなどの症状が現れます。最悪死亡することもあります。
熱中症に注意が必要な時
熱中症に注意な必要な時は以下のようなときです。
- 気温が高い日や暑くなり始めの時、急に暑くなった日
- 湿度が高い日
- 風が弱い日
- 日差しが強い日
- 熱帯夜の翌日
などです。
熱中症になりやすい時
例年、熱中症による救急搬送されたというニュースは、真夏日(最高気温が30度以上)になると発生し始め、猛暑日(35度以上)で急激に増加していると感じます。しかし、熱中症が起こりやすいのは、太陽が照りつける暑い日だけとは限らず気温が急に上がる時期や湿度の高い時にも熱中症はなりやすい為注意が必要です。
特に熱中症になりやすい時は、
- 初夏や梅雨明けの気温が上がる時期で体がまだ暑さに慣れてない時で4月〜6月
- 真夏、夏休み中などの7月〜8月
です。
4月〜6月
4月〜6月では、身体がまだ暑さに慣れていないため上手に汗をかくことができなく、体の放熱量が低く体温の調節が上手くできません。その為熱中症になりやすいです。
7月〜8月
7月〜8月では次第に身体が暑さに慣れてきて、体は暑熱順化してきますが、最高気温が30度を超える日が多くなり、熱中症による死亡が増え始めます。気温が高くなるにしたがい死亡率は急激に上昇します。また、気温が高い場合だけでなく、湿度が高い場合や、風が弱い、日差しが強いなどの環境でも起こりやすくなります。
夏だけでない!!冬の脱水症
熱中症、脱水は、夏に多いため夏にしか起こらないイメージが強いかもしれませんが、冬でも脱水症を起こしてしまう可能性があります。
冬に脱水が生じる原因についていくつか紹介します。
冬に脱水症となる原因
空気の乾燥:空気が乾燥していると、自覚がないまま皮膚や粘膜、呼気から水分が失われます。この呼気に含まれる水分や皮膚や粘膜から蒸発する水分を合わせたものこれを不感蒸泄といい、冬場では、知らずのうちに体から失われる水分の量が増えてしまい脱水症となる原因となります。
また、冬場は体感温度が低いため、喉の渇きを感じにくくなり、水分の摂取量が減りがちとなり、運動の時でも水分摂取が不足しやすくなります。
汗の役割
人の体の60%〜70%は水分出来ており、マラソン 、ランニングなどの運動をすることで体内の温度が上昇すると、体温上昇を抑える為に発汗が促されます。
汗は、蒸発するときに気化熱を奪うことで、体温を下げる働きがあります。打ち水のような効果をしています。
熱中症警戒アラート
熱中症予防対策に資する効果的な情報発信として熱中症警戒アラートが環境省、気象庁が実施し始めました。
はじめは、令和2年7月から関東甲信地方で試行開始し、令和3年4月下旬から全国は広がり実施されるようになりました。
熱中症警戒アラートは、危険な暑さへの注意を呼びかけとして、熱中症の危険性が極めて高くなると予測された時に注意を促す情報です。この情報をもとに熱中症予防の行動を行う目安となります。
熱中症警戒アラートが発表される基準は暑さ指数を使用しています。暑さ指数は熱中症との相関が高く、値が33以上と予測された時に気象庁の府県予報区等を単位として発表します。
発表内容は、
- 暑さ指数の予測値
- 予想最高気温
- 熱中症予防行動
などです。
暑さ指数
熱中症を起こしやすい時の環境条件は重要ですが、日本の夏は蒸し暑いため気温だけでは評価できません。そのため熱中症になりやすい条件として、気温、湿度、日射・輻射熱 、風の要素を取り入れて考える必要があります。気温、湿度、日射・輻射 、風の要素を取り入れた指数に、暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)があり、体と外気との熱のやりとりに着目した指標です。
輻射熱は、日射しを浴びたときに受ける熱、地面、建物、人体などから出ている熱のことをいいます。
暑さ指数は、高温環境の指標として労働や運動時の予防措置に用いられています。
暑さ指数は、気象庁観測要素を用いて計算されおり、夏期には、全国約840地点の暑さ指数の実況値や予測値が「環境省熱中症予防情報サイト」で公開されていま す。
暑さ指数(WBGT)の求め方
屋外と室内により求め方が変わります。
- WBGT(屋外) = 0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
- WBGT(屋内) = 0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
乾球温度 : 通常の温度計が示す温度で気温
湿球温度 : 温度計の球部を湿らせたガーゼで覆い、常時湿らせた状態で測定する温度
黒球温度 : 黒色に塗装された薄い銅板の球の中心部の温度
暑さ指数に応じた注意事項
暑さ指数に応じた注意事項について紹介します。
熱中症の症状
熱中症は、体内の水分や塩分が失われて体温が上昇し、体の機能が障害される状態です。熱中症の症状は、以下のようになります。
- 頭痛やめまい
- のぼせや耳鳴り
- 意識障害やふらつき
- 呼吸が荒くなる
- 体温が上昇し、発熱する
- 発汗が減少し、皮膚が乾燥する
- 脱水症状や、口渇、喉の渇き
- 吐き気や嘔吐
これらの症状が現れた場合は、すぐに体を冷やし、水分補給を行うことが大切です。また、熱中症が進行すると、脱水症状や意識障害などの重篤な症状が現れるため、早期発見・早期対応が必要です。運動や屋外での活動を行う際には、熱中症対策をしっかりと行い、健康に気をつけることが大切です。
熱中症の症状と重症度分類
脱水症状のセルフチェック方法
脱水症状のセルフチェック法に爪を使ったチェック方法があります。チェックの方法は、親指の爪を反対の指でつまみ、つまんだ後に指を離して白くなった爪の色が元の色に戻るまでの時間を計ります。色が元に戻るまで3秒以上かかる場合は要注意で、脱水症を起こしている可能性があります。
また、脱水症状のセルフチェック方法には、爪を使ったセルフチェックだけでなく、尿の色を確認して判定する方法もあり、厚生労働省にもチャートが公開されています。
尿の色による判定は、尿の色に応じて水分が足りているかを判断する方法でです。
熱中症を疑う時の応急処置
熱中症を疑った時には、早急に応急処置をする必要があります。熱中症の症状はめまいやふらつきなどのさまざまな症状がありますが、めまいやふらつきなど熱中症の初期症状に気付いたらすぐ休むべきですが、もともと体調が悪いために頭痛や倦怠感を感じている方は、熱中症になっていても気付かないことがあります。
応急処置
涼しい場所(クーラーが効いた室内や風通しがいい日陰など)に移動し安静にする。
体温を下げる(体を冷やす)ために、衣服をゆるめ体の熱を放出し、氷枕や保冷剤などを首やわき、足の付け根などに置き体を冷やす。また、体に水をかけてうちわなどであおぐことでも体を冷やすことができます。
塩分、水分の補給をする。
スポーツドリンクなどでは、水分と塩分を同時に補給できます。但し、意識がない場合や、嘔吐している時では、水分が誤って気道に入ってしまう危険性があるので、むりやり水分を飲ませると危険です。
救急搬送の必要性を判断するポイント
- 意識がしっかりしているか
- 水を自分で飲めるか
- 症状が改善したか
が救急搬送の判断のポイントです。
熱中症にはさまざまな症状がありますので、めまいやふらつきなどの初期症状の時でも十分に注意が必要となります。