ランニング中のケガ〜膝:半月板損傷編〜

膝関節の疾患には、発育期の膝関節障害、半月板損傷、靭帯損傷・捻挫、膝蓋大腿関節障害、関節症、炎症性疾患、非外傷性関節血症、腫瘍性疾患が主に考えられます。今回はランニング中にも起こる可能性のある膝の怪我のうち、半月板損傷についてまとめました。

膝関節の構造と半月板

膝関節

膝関節は、骨、軟骨、靱帯、筋肉、腱などから構成されています。
骨は大腿骨、脛骨、大腿骨、膝蓋骨の3つの骨から構成されており、大腿骨と脛骨の間で曲げ伸ばしができる蝶番関節となっています。
また、膝関節周囲には筋肉、腱、靭帯が付いており、膝関節の安定性に寄与しています。

半月板

半月板は、膝関節の大腿骨と脛骨の間にあるC型をした線維軟骨で、三日月状をしていることから半月板(半月)と呼ばれています。半月板は膝関節の内側、外側にそれぞれにあります。内側のものを内側半月(medial meniscus:MM)、外側のものを外側半月(lateral meniscus:LM)といいます。半月板の辺縁部は厚みが厚く、中央部に向かう程薄くなる構造をしています。

半月板の位置関係がわかるイラストです。半月板は膝関節にあり大腿骨と脛骨の間にあります。半月板は、関節でクッションのような働きをしています。
半月板

内側半月板(MM)と外側半月板(LM)

内側半月板(MM)の辺縁部は、内側側副靭帯(medial collateral ligament:MCL)深層と関節包内に存在する大腿半月靭帯、半月結合靭帯と結合しています。また、前方は前顆間区、後方は後顆間区で脛骨に付着しています。

内側半月前角rootの後方成分は、transverse meniscal ligamentに合流します。

外側半月板(LM)の辺縁部は、外側側副靭帯(Lateral collateral ligament:LCL)と結合はしていません。前方、後方は内側半月板と同じように前顆間区、後顆間区で脛骨に付着しています。

半月板の役割

半月板の役割は、膝にかかる体重の負荷を分散させ、関節への衝撃を吸収したりするクッションのような働きをしたり、関節の位置を安定させる働きをしています。

また、曲げ伸ばしの可動性を適切に保つことにも寄与しています。

半月板損傷の概要

半月板損傷は、半月板自体に亀裂が生じたり、欠けたりする事で痛みが発症する事です。

年齢問わず若年から高齢者まで発症します。

慢性化すると変形性膝関節症となる場合もあります。

主に、スポーツ時の膝関節への外傷で多い損傷です。膝をねじった時や異常な方向へ力が加わると起こりやすい損傷です。

半月板損傷の症状

半月板の亀裂や欠けたりして半月板損傷になった場合、運動時の痛みや膝の屈伸運動の時に引っかかり感などの症状が出現します。

また、音が鳴ったり膝がずれるような違和感が起こることもあります。

症状が悪化した場合には、膝に関節液や血液がたまりロッキング(膝が動かなくなる)状態になったり、激痛で歩けなくなることもあります。

ロッキングとは

半月板損傷の特徴的な症状にロッキングがあります。ロッキングは、激しい痛みとともに、膝が動かなくなってしまう状態をいいます。

突然の痛みと、膝がある角度から動かなくなる(膝がロックされたような状態)症状で、衝撃などにより半月板が膝関節の間に挟まった状態です。ロックした膝関節は、ゆっくり曲がる方向へ動かすとロックは解除されますが、痛みがひどい場合は早めに病院へ受診が必要となります。

半月板損傷の起こる原因

半月板損傷は、体重が加わった状態で膝をひねったり、外傷などにより衝撃が加わったりすることで起こり、若い人ではスポーツ中の外傷が、原因のことが多いです。年齢を重ねると、脚の筋力が低下したり疲労の蓄積する事による原因になる事があります。

スポーツ中の外傷による半月板損傷(外傷性)

急激な動きや無理な体制をとった時に膝関節に負荷がかかり損傷する事があります。また、半月板が、衝撃を吸収しきれないほど、膝を酷使したり、強く打ちつけたりして負荷がかかると、半月板は傷ついたり断裂します。

特に、膝関節に体重がかかっている状態で体を不意にひねったときに傷つきやすいです。

膝より下を固定した状態でねじる動作を繰り返すスポーツ(サッカーやバスケットボールなど)では半月板の損傷が多く報告されています。

ランニング中での半月板損傷(外傷性)

ランニング中では足を捻ったりする時だけではなく、アスファルト路面ばかりを走ったり、スピードトレーニングを多くした時、下り坂を走るときも半月板の損傷の可能性はあります。

加齢、筋力低下による半月板損傷(変性断裂)

加齢によって半月板は変性し、クッション性が低下します。半月板は変性は、加齢により水分量が低下してクッションとしての役割が衰えます。40歳以上から水分量が低下しますので注意が必要です。

半月板のクッション性が低下により、半月板は傷ついたり断裂しやすくなります。

まだ、膝周囲の筋肉が低下すると半月板に掛かる負荷が大きくなり、半月板が傷ついたり断裂しやすくなります。

日常生活での半月板損傷

半月板は加齢により傷つきやすいため、高齢者ではささいなケガや日常生活動作でも損傷する場合があります。

普段、脚を組んだり、横座りをしたりとき身体を歪めた姿勢を続けることより、半月板に負荷がかかり、半月板は傷ついたり断裂する事があります。階段の上り下り、ウオーキング、ハイキング、犬の散歩、段差や溝を飛び越える時の着地で半月板が傷ついたり断裂することもあります。

他に、先天性の問題で外側円板状半月板(幅広く分厚い半月板)が原因で関節内でひっかかりやすい事による半月板損傷や、加齢にともなう半月板の変性による半月板損傷もあります。

半月板損傷の分類

断裂の形や部位によって分類されています。

損傷(断裂)の形による分類

スポーツなどによる外傷によって生じる場合と、加齢による変性のため軽微な外力によって損傷する場合(変性断裂)があり、損傷(断裂)の形により、水平断裂、縦断裂、横断裂、バケツ柄状断裂、円盤状半月板断裂、フラップ状断裂に分類されます。

損傷の状態によっては放置すると、さらに関節軟骨を傷めることもあります。

半月板損傷の分類

半月板損傷のチェック方法

McMurray test(マックマレーテスト)

McMurray testとは、膝を曲げながら捻じるテストで、膝を内反外旋、外反内旋して半月板が損傷しているかを見分ける指標とする検査です。

検査の方法

半月板損傷をテストしたい側の足(下腿遠位部)を片手で固定し、他方の手で膝関節の外側関節裂隙、内側関節裂隙をもち(外側関節裂隙を母指、内側関節裂隙を中指(環指)で固定)、股関節、膝関節の最大屈曲位(深屈曲位)にし、下腿を内方、外方へ捻ることでテストを行います。

内方、外方へ捻ることで、click音や疼痛が誘発されるかを確認し、誘発される場合は半月板損傷を疑います。

McMurray testの様子のイラストです。股関節、膝関節を屈曲し、下腿を内旋、外旋している様子のイラストです。
McMurray test

判定

内反外旋した時にclick音や疼痛が誘発された場合、内側半月板の損傷、外反内旋した時にclick音や疼痛が誘発された場合、外側半月板が損傷している可能性があります。

他に、深屈曲位でclick音や疼痛が誘発された場合は後節損傷、膝関節軽度屈曲位〜伸展位でclick音や疼痛が誘発された場合は前節損傷が疑われます。

Apley’s ConpreRession Test(アプレー圧迫テスト)

検査の方法

うつ伏せ(腹臥位)に寝て、半月板損傷をテストしたい側の膝関節を90°屈曲位にします。して、検者の一側の膝を大腿後面に乗せて固定する。テストしたい側の足首を両手で把持し下方へ牽引しながら、下腿を内転、外転さることでテストを行います。

膝に痛みが誘発されるかを確認し、誘発される場合は半月板損傷を疑います。

Apley's ConpreRession Test(アプレー圧迫テスト)の様子のイラストです。うつ伏せで膝関節を屈曲し、下腿を内旋、外旋している様子のイラストです。
Apley’s ConpreRession Test

判定

下腿を内旋した時に痛みが誘発される時は内側半月板 外旋した時に痛みが誘発される時は外側半月板の損傷を疑います。

半月板損傷の治療

まとめ

その他、膝周囲の怪我や損傷