ランニング中の怪我〜膝の骨折〜

骨折は膝にかぎらず全身の骨のどの場所でも起こり得ます。このページでは骨折の中で、膝周囲に起こり得る骨折についてまとめています。

骨折の種類

膝の骨折の前に、骨の折れ方による分類(種類)を紹介します。骨折は骨の折れ方により単純骨折、複雑骨折、粉砕骨折、疲労骨折、圧迫骨折、剥離骨折、皮下骨折などにわかれます。また、骨粗鬆症が背景となり起こる脆弱性骨折などもあります。

単純骨折(閉鎖骨折)

単純骨折は閉鎖骨折とも言い、骨折した骨が皮膚表面から露出していない状態をいいます。

閉鎖骨折

複雑骨折(開放骨折)

複雑骨折は開放骨折とも言い、骨折した部位の皮膚も損傷し骨が皮膚表面から露出した状態をいいます。

複雑骨折(開放骨折)は単純骨折に比べて、骨髄炎などのの感染症の危険が高く比較的重傷な骨折です。

開放骨折

粉砕骨折

粉砕骨折とは、骨が複数の小片に粉砕された状態の骨折を指します。主に交通事故や高所からの落下など、強い衝撃を受けた際に起こります。粉砕骨折は、骨折部位の破片が多数存在するため、治癒に時間がかかることが多いです。

粉砕骨折の症状としては、強い痛みや腫れ、内出血、動かせないなどの症状が見られます。特に膝や肘、足首などの関節部位で起こる場合は、周囲の筋肉や靭帯も損傷し、関節の不安定化を招くことがあります。

治療方法としては、骨折部位を固定する手術や、内部から針や金属プレートなどを用いて固定する内固定術、外部からフレームを取り付ける外固定術などがあります。骨折部位の状態によって治療法が異なりますが、骨折部位をしっかりと固定し、適切なリハビリテーションを行うことが治療成功の鍵となります。

粉砕骨折は、治癒に時間がかかるため、痛みや不自由さを長期間抱えることがあります。そのため、治療の遅れや適切でない治療方法を選択することが、後遺症の原因となることがあるため、早期の治療が必要です。また、粉砕骨折を予防するためには、スポーツや日常生活での安全対策、事故や落下などのリスクを避けることが重要です。

疲労骨折

疲労骨折とは、過度の運動や反復的な負荷などによって骨に負荷がかかり続けることで、骨の疲労がたまって発生する骨折です。主にスポーツ選手や軍人など、高い身体能力を要求される職業や運動をしている人に多く見られます。疲労骨折は、骨折が完全に切れるわけではなく、微小なひび割れや変形が起こるため、痛みや腫れ、運動制限などの症状が現れます。

疲労骨折は、運動量の急増や負荷の増加、適切な休息や栄養不足などが原因となります。疲労骨折は、初期段階では症状が軽いため、放置すると重症化し、完治までに長い時間を要することがあります。また、繰り返し発生することがあるため、注意が必要です。

治療方法としては、安静や軽い運動療法などの保守的治療が基本的な治療法となります。一方で、重症化してしまった場合や治癒までに時間がかかる場合は、手術が必要な場合もあります。疲労骨折を治療するためには、運動や負荷のコントロール、栄養補給、適切な休息などが必要です。また、早期の発見と適切な治療が重要です。

疲労骨折は、スポーツ選手や軍人だけでなく、日常生活でも発生する可能性があります。長時間の立ち仕事や運動不足などが原因となることもあります。そのため、適度な運動や負荷、栄養補給、十分な休息など、予防策を講じることが大切です。また、疲労骨折が発生した場合は、症状に注意を払い、早期の治療を受けるようにしましょう。

圧迫骨折

圧迫骨折とは、骨に対して強い圧力がかかることによって、骨が変形してしまう骨折の一種です。主に交通事故や重量物の落下、高所からの落下などによって発生します。圧迫骨折は、骨に対しての圧力が非常に強いため、骨が粉砕される場合もあります。また、圧迫骨折が発生した場合、周囲の筋肉や靭帯なども損傷することがあります。

圧迫骨折の症状には、激しい痛み、腫れ、変形、機能障害などがあります。圧迫骨折の症状は、骨折箇所や骨折の程度によって異なります。症状が軽い場合は、安静や包帯固定などの保守的治療が行われます。重症化している場合や、治療が遅れた場合は、手術が必要となることもあります。

治療方法としては、骨折の程度や位置によって、固定や手術が行われます。軽度の圧迫骨折では、石膏や包帯による固定が行われ、適切な位置で骨折が癒合するまでの期間安静にすることが必要です。重度の圧迫骨折では、手術によって骨を修復することが必要です。手術は、骨折の程度や位置によって、骨を維持するための鋼板や釘、スクリューなどを用いて行われます。

圧迫骨折の予防策としては、交通事故や重量物の扱いには十分な注意を払い、危険な場所での作業は専門家に任せるなど、安全に注意することが大切です。また、適切な運動や栄養バランスの良い食生活など、健康的な生活を送ることも予防につながります。

剥離骨折

腱や靭帯の結合部から骨が剥がれた状態で、外部からの衝撃や日常的な動作が原因となることが多いです。手や足の関節部分に起こることが多いです。

皮下骨折

皮膚の下で骨折した状態で、内出血によるあざができてその後変色します。

脆弱性骨折

脆弱性骨折とは、骨粗鬆症が背景にあり、軽度の外力によって起きた骨折をいいます。
主に、脊椎椎体の骨折、大腿骨近位部(股関節等)の骨折、橈骨遠位端骨折(手関節)の骨折、上腕骨近位部(肩)の骨折などがあります。
脆弱性骨折は、転倒などによる軽度の外力で骨折するため、全身の骨が脆弱になっていることが多いため、脆弱性骨折が起きた時には、他の部位も骨折するリスクが高く、骨折が次々に起きる骨折の連鎖が起きることもあります。

骨折の形状による分類

骨折の形状により、横骨折、縦骨折、斜骨折、螺旋骨折に分類することができます。

膝周囲の骨折の概要

膝周囲に起こり得る骨折には、膝蓋骨折、大腿骨遠位部骨折(大腿骨顆上骨折、大腿骨顆部骨折)、脛骨高原骨折、Segond骨折、脛骨顆間隆起裂離骨折、疲労骨折などがあります。

膝蓋骨骨折

膝蓋骨は、膝関節の前方にある骨で、膝のお皿の部分です。形は丸いお皿のような形をしています。

膝蓋骨の働きは、膝関節の屈曲・伸展の動きの中心で効率良く膝関節が動くように働いています。膝蓋骨の上方からは、膝関節を伸展させる筋肉の大腿四頭筋の腱がつき、下方へは膝蓋腱が脛骨につきます。

膝蓋骨に外傷などにより外から力が直接かかった結果、骨が割れたりかけたりする事があります。特に多いのが交通事故により膝の強打や、スポーツ中の接触による外傷です。骨折に入る骨折線の入り方により膝蓋骨の骨折は縦骨折、横骨折、粉砕骨折に分けられます。

(屈曲: 関節を曲げる事 伸展: 関節を伸ばす事)

膝蓋骨は、大腿骨との間に膝蓋大腿関節を形成しており障害が起こると、膝の曲げ伸ばしを円滑に行うことができない為、階段の昇降やしゃがむ動作、跳躍などに支障が出ます。

膝蓋骨骨折〜縦骨折〜

膝蓋骨に垂直に骨折線が入ったものです。

膝蓋骨骨折〜横骨折〜

膝蓋骨に水平に骨折線が入ったものです。

膝蓋骨骨折〜粉砕骨折〜

膝蓋骨に複数の骨折線が入ったもの

膝蓋骨が骨折する原因

転倒や交通事故、スポーツ中の接触などにより膝の前面の強打や大腿四頭筋の急激な収縮などがあります。

膝蓋骨骨折の症状

膝蓋骨ご割れたりヒビが入ると、膝に強い痛みや腫れが生じたり、屈曲、伸展がしづらくなったりします。また、歩いたり走ったりする時に歩行、走行が不安定になります。さらに、ぶつけた事による皮下出血やあざが現れることもあります。

その他に、骨折部からの出血が原因で関節内に血がたまり関節が腫れたり、炎症により水が溜まったりする事もあります。

膝蓋骨骨折を疑う時には

膝蓋骨の骨折が疑う場合には、膝をまっすぐにする様にします。膝をまっすぐに維持する事が難しい場合には添え木を使うことも有用です。

また、膝の周囲を氷や冷水で冷やす事も忘れない様にします。

分裂膝蓋骨

骨折とは異なりますが、膝蓋骨が2つ以上に分かれている状態のこと分裂膝蓋骨といいます。先天的(生まれつき)に分裂している場合が多いといわれていますが原因は不明です。膝の前面をぶつけることも原因となる事もあります。

症状は、激しい運動などをきっかけに分裂部分にストレスが加わると痛みが伴う場合や、無症状の場合もあります。

大腿骨遠位部部骨折

膝関節周囲の骨折の一つに、、大腿骨遠位部骨折があります。大腿骨遠位部骨折は大腿骨の膝関節に近い部位の骨折です。

大腿骨顆上骨折、大腿骨顆部骨折があります。

大腿骨顆上骨折

大腿骨顆部骨折

大腿骨顆部骨折は、大腿骨の遠位部(膝側の骨が大きくなっている部分)の骨折をいいます。

脛骨高原骨折(プラトー骨折)

脛骨高原骨折はプラトー骨折ともいいます。”プラトー(plateau)” は英語で「高原」を意味しています。

脛骨の近位端の関節面の骨折で、関節部の外側からの外力により、大腿骨と脛骨が衝突し脛骨の損傷、骨折が起こります。主な症状として、膝の痛み、むくみ、膝の可動域の減少などがあります。

交通事故や転落、スポーツ外傷などで発生し、半月板損傷や靱帯損傷、動脈血管の損傷、神経の損傷、関節炎、コンパートメント症候群などを合併することもあります。

Hohlの分類では、

  • 非転位型
  • 局所的陥没型
  • 分裂陥没型
  • 全面的陥没型
  • 分裂型
  • 粉砕型

に分類する事ができます。

その他、膝周囲の怪我や損傷

2020-08-10マラソン 怪我マラソン,怪我,膝関節

Posted by takacyan