ランニングでの日焼け(紫外線)対策〜肌・目への影響〜

日差しの強い日が増えて、普段昼間にランニングをする人は日焼け対策を行わなくてはならない時期になってきました。一般的な日焼け対策で、肌への対策として日焼け止めで紫外線対策を行っている方が多いと思いますが、肌だけでなく、目にも紫外線対策は必要です。紫外線が肌や目に与えるダメージと、紫外線対策について記載します。

日焼けとは

日焼けは、太陽の光(強い紫外線)を短時間で浴びた結果として生じる皮膚反応のことです。
日焼けにはサンバーンとサンタンという2種類があり、

サンバーンは、紫外線を浴びた後、数時間後から起きる炎症性の紅斑反応です。

サンタンは、サンバーンの赤みが消える3日目頃から生じる褐色の色素沈着反応です。

肌に日焼けが生じると、軽い火傷を起こしたように赤く変化し、ヒリヒリとした痛みを伴います。
日焼けによる皮膚症状に伴い、しみやしわ、皮膚がんなどが誘発される危険性もあります。

日焼けの原因

日焼けの原因は紫外線によるものです。

紫外線は太陽光線に含まれており、太陽光線の5%が紫外線と言われています。

紫外線が、肌に当たると内部でメラニンが大量に作られるため、黒い色素で紫外線を吸収し真皮へのダメージから細胞を保護しています。

これが、日焼けの仕組みです。“メラニンは悪者”というイメージがありますが、そもそもメラニンは、肌細胞を紫外線から守るためにできるものです。

紫外線について

太陽光線は、波長により赤外線、可視光線、紫外線に分けられます。波長の長さが短いものから紫外線、可視光線、赤外線と分けられます。

(紫外線よりも波長が短い、X線、ガンマ線などがあります。また、赤外線よりも波長が長い、マイクロ波などの電波などがあります。)

紫外線は太陽光線の約5%に含まれています。可視光線はまぶしさ、赤外線は熱さを感じますが、紫外線はまぶしさも熱さもありません。そのため、いつ、どのくらい紫外線にさらされたかは気づくことは難しく、知らず知らずのうちに大量の紫外線にさらされている事になります。

紫外線の波長は約100-380nmで、波長の長さによって次の3種類に分けられています。

補足:可視光線の波長範囲:380~780nm 赤外線の波長範囲:780nm~1000μm

太陽光線を日傘で遮っている画像です。
太陽光線には波長によって分けられる、赤外線、可視光線、紫外線などが含まれており、日焼けに影響を与えるのは紫外線です。
太陽光線

UVA(紫外線A波)

UVAの波長は、 315~400nm で、大気による吸収をあまり受けることなく地表に到達します。地表に届く紫外線のうち、約9割はUVAが占めています。

UVAは波長が長く、肌の奥の真皮にまで到達し肌にダメージを与えます。UVBと比較すると日焼けに対する影響は少ないと言われていますが、肌のシミの元となるといわれています。波長が長い事によりUVAは、雲やガラスを透過してしまうため、曇りの日や家の中でも対策が必要となります。

UVAの肌への影響は

  • 弾力、ハリを失う
  • 光老化を招く
  • メラニン色素の合成を促されることで皮膚が黒くなる
  • シワやたるみの原因となる

などがあります。

UVB(紫外線B波)

UVB(紫外線B波)は、紫外線の一種で、波長が280〜320ナノメートルの範囲にあります。地球に届く紫外線の中では、UVAに次いで強いエネルギーを持っています。

UVBは、肌の表面に直接作用する紫外線であり、肌を赤く焼けたり、日焼けの原因となります。また、皮膚にDビタミンを生成するのに必要不可欠なエネルギーを提供するため、適度な量のUVBは健康にも必要です。

しかしながら、長時間のUVBの曝露や高濃度のUVBに曝露することは、肌にダメージを与え、日焼け、皮膚がん、シミ、しわなどの肌老化を引き起こす可能性があります。そのため、UVB対策は非常に重要です。

UVB対策としては、日焼け止めクリームの使用、帽子や長袖の衣服を着用すること、日差しが強い時間帯(午前10時から午後4時まで)を避けること、室内にいることができる場合は室内にいるなどが挙げられます。また、肌に必要なDビタミンを摂取するために、適度な量の太陽光を浴びることも大切です。

UVC(紫外線C波)

UVC(紫外線C波)は、波長が100〜280ナノメートルの範囲にあります。この波長の紫外線は非常に強いエネルギーを持っており、生物の細胞を破壊することができます。

UVCは大気中でほとんど吸収されるため、地球上の生物に直接影響を与えることはありません。ただし、人工的に生成されたUVCは殺菌や消毒に利用されることがあります。例えば、水処理や空気処理、医療器具の滅菌などに使われます。

しかし、UVCは肌に対しても強い影響を与えるため、人体に対して使用することは避けるべきです。UVCは、肌細胞や眼球の表面を傷つけ、炎症や角膜炎などの障害を引き起こす可能性があります。そのため、UVCの照射には、適切な保護具を着用することが重要です。

また、近年、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、UVCの殺菌効果が注目されています。しかし、家庭でのUVCの使用については、十分な知識や技術がない場合、安全面や健康面のリスクが伴うため、注意が必要です。

気象庁による紫外線の説明

日焼け止め指数~SPF、PA、UPF~

日焼け止めクリームやUVカット加工の衣料などの仕様として、SPF、PA、UPFという指数があります。
これらの指数の値は、紫外線をどの程度防いでくれるか示す数字です。

SPF

SPF(Sun Protection Factor)は紫外線防御指数といい、紫外線のUV-Bをどの程度防いでくれるか示す数字です。値は2〜50、50+(50以上)で表され、数字が大きいほどUV-B に対する防御する効果が高いことを表しています。

最大値は50+です。

SPFの数値は、日焼け止め等を何も塗らない場合と日焼け止め等を塗った時を比べて紫外線を何倍の当てると、皮膚が赤くなる(日焼けする)かを示しています。

PA

PA(Protection Grade of UVA)は、紫外線のUV-Aをどの程度防いでくれるか示す数字です。4段階の「+」で表示されており、「+」が増えるほどUV-Aに対する防御する効果が高いことを表しています。

「PA+」「PA++」「PA+++」「PA++++」の4段階であらわされ、 「PA++++」 が最大値です。

UPF

UPFは、UltraViolet Protection Factorを略したものです。

日本語で言うと、紫外線保護指数といいランニングウェアなどの衣服に表示されています。

UPFの値は、紫外線をどれだけ防いでいるかを表し、数値の高い方が紫外線を防いでいる事を表しています。

一般的にUPFの表記は「15-24」「25-39」「40-50+」の3つに分かれており、UPF50は紫外線を1/50に紫外線をカットする効果があります。

日焼け(紫外線)〜肌への影響〜

肌の日焼けには紫外線を浴びた直後に現れる赤くなる日焼け(紅斑)と、赤い日焼けの後数日後から数週間現れる黒い日焼けがあります。紫外線を浴びた直後に現れる赤い日焼けは「サンバーン」ともいい、ヒリヒリしたり、水ぶくれができたりします。赤い日焼けの後数日後から数週間現れる黒い日焼けは「サンタン」ともいい、一般的にいわれる「日焼け」です。赤くなる、黒くなるの程度は人それぞれによって異なります。

また、紫外線を浴びすぎるとシミやシワの原因、皮膚がんや白内障が発症するリスクにもなります。

日焼け(紫外線)〜目への影響〜

紫外線は肌だけでなく、目にも大きなダメージを与えます。目の角膜に長時間紫外線を浴び続けると、角膜は炎症を起こし、目の痛みや充血などの症状が現れる場合があります。電気性眼炎(雪目)といい、ダメージは受け続けると蓄積されて目の細胞を破壊していきます。白内障などの病気のリスクを高めてしまう場合もあります。

ランニングでの日焼け(紫外線)対策

日焼け止めクリーム

肌への日焼け対策の基本として日焼け止めクリームを肌に塗ることが第一に挙げられます。

日焼け止めクリームは、SPF30が以上の日焼け止めクリームを使用して、顔や体に塗り込むようにします。SPF(Sun Protection Factor)とは、日焼けに対する影響が大きい紫外線B波(UVB)の防止効果を数値化したものです。長時間ランニングをしたり、太陽の光(紫外線)を浴びる時には、SPF30より高い値のものをおすすめします。

SPFの他に日焼け止めクリームには、PA(Protection Grade of UVA)の表示もあり、紫外線A波(UVA)の防止効果を数値化したものです。
PAは、+が多い方が肌を黒くすることを防止します。ランニングでは、+++以上のものをおすすめします。

日焼け止め(スプレータイプ)

スプレータイプの日焼け止めは、散布によるものですので、まんべんなく全体に日焼け止めを塗ることができます。また、髪にも散布できるので頭皮を紫外線から守ることができます。

その他、飲むサプリも販売されていますが、個人的には効果を少し疑います。ただ、肌に負担がかからないため肌トラブルが起きにくいことがメリットです。

帽子をかぶる

帽子は顔の日焼けの防止がより期待できます。

日焼け対策の為の帽子の選び方

つばが大きい帽子を選ぶ事で顔の日焼けの防止がより期待できます。また、紫外線カット対策がされた帽子を選ぶ事で、少しでも紫外線を減らすことができます。

帽子の色は、黒などの濃い色の帽子がおすすめです。濃い色は紫外線を吸収しやすいため、帽子の下の皮膚に紫外線が届きにくい為です。(白などの薄い色は紫外線が通過し、帽子の下に紫外線が届きやすいです。)

サングラスを着用する

紫外線を防ぐためのサングラス

目は、肌と違い日焼け止めを塗ることができません。その為目の紫外線に対する対策にはサングラスが有効です。サングラスによる紫外線対策には紫外線(UV)カット機能がついているかが重要です。

UVカット機能はUVカット率、UV透過率で性能を表すことができます。

UVカット率はどれだけUVをカットするかを表しています。また、UV透過率はどれだけUVを通すかを表したものです。

(サングラスのメーカーにより、UVカット率、UV透過率の表記は異なります。)

アームカバーやランニングタイツ等を着用する

走る時間やコースを工夫する

まとめ

天候、気候別ランニングの注意点と対策