脱水対策~水分補給について~
脱水症について
脱水症は、体液が汗で失われ、体液が汗で失われて補給が十分にできていない場合におこります。
脱水症になると血液の量が減少、血圧が低下、十分な栄養素が体に行き渡らなくなります。また、不要な老廃物を排出する力も低下します。
筋肉から水、電解質が失われると脚がつり原因となったり、しびれが起こることもあります。
※体液は水と電解質で構成されています。
人の体の水分量
人の体の水分量が少なくなると
人の体は約60%は水分で構成されています。
汗をかくなどして、からだの中の水分が失われて行く時には、発汗やのどの渇きなどの症状が現れます。この状態でも軽度の脱水と言えます。さらに大量に水分が失われていき、体の中の水分が少なくなっていくと、体を正常に維持できなくなり、様々な症状が現れます。目安としては、体重の3%の水分量(体重が60kgで1.8㎏(約1.8L))失われると汗がいったん止まり、頭痛やめまい、けいれんなどを引き起こすようになります。重度の脱水と言えます。
人の体の水分の働き
体内にある水分は主に溶解、運搬、体温調節の3つの働きをしています。
溶解
溶解は体内の物質を水に溶かして生きていくために必要な化学反応で、体の中で行っています。
運搬
運搬は栄養物質を体の隅々まで運んだり、老廃物を体の外へ排泄しています。
体温調節
体温調節は気温や室温が下がっても体温が下がらないよう調節されていたり、体温が高くなると汗をかいて熱を外に逃がし調整しています。

脱水を示す血液データ
脱水が起こると、体内の水分が減少し血液の濃縮が起こり腎機能が低下します。
血液データでは、脱水により、赤血球数(RBC) 、ヘモグロビン値(Hb) 、アルブミン(Alb)、総たんぱく(TP)、ヘマトクリット(Ht) 、尿素窒素(UN)、尿酸(UA) 、クレアチニン(Cr) の値が上昇します。
また、ナトリウムを失う事による低張性脱水では、ナトリウム(Na)が低下、水分を失う事による高張性脱水ではナトリウム(Na)が上昇します。
さらに、下痢や嘔吐により起こる脱水では、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)などの電解質も低下します。
脱水症状のセルフチェック方法
脱水症状のセルフチェック法に爪を使ったチェック方法や尿の色を確認して判定する方法があります。
爪を使ったチェック方法
爪を使ったチェック方法は、親指の爪を反対の指でつまみ、つまんだ後に指を離して白くなった爪の色が元の色に戻るまでの時間を計る方法です。
色が元に戻るまで3秒以上かかる場合は要注意で、脱水症を起こしている可能性があります。
尿の色を確認して判定する方法
尿の色を確認して判定する方法は、厚生労働省にもチャートが公開されており、尿の色による判定は、尿の色に応じて水分が足りているかを判断する方法でです。
ランニング中の水分補給
ランニングをする時の水分補給のタイミングは、走る前と途中、後に補給する必要があります。特に走る前と途中は喉の乾きを感じる前にこまめに少量を摂取する事が必要と私は思います。季節や個人差にもよりますが、50~100mlをひと口づつゆっくりと飲むようにして、ランニングによって、汗として体外に排出される水分を少しずつ、前もって補給するイメージで水分補給をします。スポーツ飲料や経口補水液がオススメです。
水分補給のタイミング
ランニングやマラソン中の水分補給は、のどが乾く前に給水しましょうと言われますが、実際に走り始めるとのどの乾きに気付かずに走り続けてしまう場合があります。
のどが乾く前に給水が必要な理由は、水分は体の中に入ってから、吸収されるまでには時間がかかる為です。
のどが渇く事は、普段の生活の時にはすぐに気づきますが、大会に出場した時には、走る事の楽しさや、記録を狙うために、走りに集中してしまいのどの渇きに気づかずに、水分補給のタイミングが遅れてしまう傾向がありますので水分を補給することを意識してランニングを行うことが重要です。
ランニング後の飲み物
ランニング後には筋肉の疲労や、汗の排出による糖質、ミネラルの不足などが考えられます。ランニング後には、筋肉の疲労回復を早めるの為に糖質やタンパク質を摂ることや、汗で排出した糖質やミネラルを補給出来る飲み物を飲むことがオススメです。
疲労回復の為の牛乳
筋肉疲労回復の為に、牛乳やプロテインなどで糖質、タンパク質を補給し、筋肉の疲労回復を早めることができます。筋肉のエネルギー源はタンパク質であり、肉、卵、魚や牛乳に含まれています。タンパク質は、アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)などで構成されており、特にバリン、ロイシン、イソロイシンが、筋肉の分解を防いだり、筋タンパク質の合成を促進する働きをしています。このバリン、ロイシン、イソロイシンはBCAA(branched-chain amino acid)とも言われています。
ランニング後には牛乳を飲む事で、BCAAをお手軽に摂取でき、効率よく筋肉疲労回復ができると思います。またプロテインもオススメです。プロテインは種類も多いため、成分を確認して摂取する必要があります。
疲労回復の為のプロテイン
プロテインは筋肉の修復の補助を行う為に飲みます。練習後約30分以内に摂取すると効率が良くなります。(30分の理由は、個人差がありますが筋肉の修復が開始する時間と一般的にされている為です。
プロテインの種類
ホエイプロテイン・カゼインプロテイン、ソイプロテインがあります。
ホエイプロテイン、ガセインプロテインは牛乳を材料てしており、ヨーグルトの上澄みにできる液体のことをホエイといい、これに含まれるタンパク質がホエイプロテインです。BCAAを含み水溶性の為、吸収が早く、ランニング後に素早く摂取することで筋肉疲労の早期回復の効果があります。カゼインプロテインは不溶性の為、体への吸収速度がゆっくりで満腹感が持続できます。
ソイプロテインは大豆を原料としています。消化吸収速度がゆっくりの為、満腹感が持続します。粉っぽいので少し飲みづらくなります。大豆に含まれるイソフラボンの効果により皮膚、骨の強化、血流改善に役立ちます。
疲労回復の為のオレンジジュース
オレンジジュースはエネルギーの源のブドウ糖を補給することができます。また、ビタミンCやクエン酸なども摂取でき疲労回復の
乳酸を減らす為の炭酸水
ランニング後では、体内に尿酸が発生したまります。炭酸水、この乳酸の発生と蓄積を減らす効果があります。炭酸水の重炭酸イオンが乳酸を中和し、二酸化炭素や水に分解し体外に排出させたり、血液の流れを良くする働きなどがあります。
スポーツドリンクの飲み過ぎに注意
スポーツドリンクには糖質と、ナトリウム(塩分)が中心に含まれています。運動量が少ない場合や、汗の量が少ないときに大量のスポーツドリンクを摂取すると、糖質、ナトリウムの過多になり糖が血中に残ってしまいます。
糖質の過多になると
高血糖といわれ、この状態が続くと体脂肪がたまりやすくなります。また、糖尿病などのリスクも高まります。
ナトリウム過多になると
通常ナトリウムは汗とともに排出されます。しかし、汗をあまりかかない場合では、ナトリウムは体内に蓄積されて、ナトリウム過多の状態になります。つまり血液中の塩分が過多となってしまいます。
熱中症を防止するためといって、スポーツドリンクを大量に飲む事には注意が必要です。
スポーツドリンクの種類
スポーツドリンクは、スポーツ飲料とも呼ばれ清涼飲料水の一種です。熱中症対策としてもスポーツドリンクが勧められていることが多いです。
スポーツドリンクは、体から失われた水分やミネラルを効率良く補給し、脱水症状からの回復や熱中症の防止に役立っています。
スポーツドリンクはアイソトニック飲料とハイポトニック飲料に大きく2種類に分けられ、アイソトニック飲料とハイポトニック飲料の主な違いは浸透圧です。
アイソトニック飲料
アイソトニック飲料は、人の安静時の体液と同じ濃度・浸透圧の飲料で、運動前や後に飲むことに向いている飲料です。
ハイポトニック飲料
ハイポトニック飲料は、ナトリウムや糖質の濃度が低めで人の安静時の体液よりも低い浸透圧の飲料で、運動中の水分補給に向いている飲料です。