ランニング中の膝のトラブル〜膝裏の痛み〜
マラソンやランニング、ジョギングの時に、膝の裏側が痛くなる事はありませんか?膝の裏側に痛みは、正しい知識を持っていれば対策が可能で、もし痛み現れた時には早く対策を取る事で痛みや張りは早く治ります。
膝の裏側が痛くなる原因や、痛くならない対策、痛くなった時の対処方法についてまとめましたので、ランニングの時の膝の裏側が痛む時に参考にして下さい。
膝の裏側を知る
膝の裏は膝窩といい、膝の後面のくぼみのことをいいます。
膝の裏側は関節としては重要なものの構造はありませんが、膝の動きに関係する筋肉や滑液包などがあります。
膝窩にある滑液包の働き
膝窩にある滑液包は、膝関節を円滑に動かすための滑液を分泌する袋状の組織です。滑液は膝関節の骨や軟骨を保護し、摩擦を軽減するために重要な役割を持っています。
滑液包は、膝関節を囲むように複数存在し、それぞれが異なる場所に位置しています。膝窩にある滑液包は、大腿骨と脛骨の間に存在し、大腿骨の軟骨面を保護する役割を持っています。また、膝の屈曲や伸展などの動作に合わせて滑液を適切に分泌することで、膝関節の動きをスムーズにし、膝関節を正常な状態に保ちます。
滑液包は、外傷や炎症によって損傷することがあります。損傷が軽度の場合は、保守的な治療やリハビリテーションが行われますが、重度の場合は手術が必要となることがあります。滑液包の損傷によっては、関節液が漏れ出したり、感染症が起こることもあるため、早期の治療が必要です。
膝窩にある筋肉
膝窩には、以下のような筋肉が存在します。
- 大腿四頭筋(Quadriceps femoris muscle) 大腿四頭筋は、大腿骨の上部から膝蓋骨にかけて広がる大きな筋肉で、膝関節の屈曲を防いだり、伸展を促進する役割を持っています。
- 膝窩内側広筋(Vastus medialis muscle) 膝窩内側広筋は、大腿四頭筋の一部で、膝関節の伸展を促進する役割を持っています。
- 膝窩内側直筋(Rectus femoris muscle) 膝窩内側直筋は、大腿四頭筋の一部で、大腿骨と膝蓋骨をつなぐ筋肉で、膝関節の伸展を促進する役割を持っています。
- 膝窩外側広筋(Vastus lateralis muscle) 膝窩外側広筋は、大腿四頭筋の一部で、膝関節の伸展を促進する役割を持っています。
これらの筋肉は、膝関節の動きを制御するために重要な役割を持っています。膝窩に存在する大腿四頭筋などの筋肉は、膝関節を安定させ、動きを制御することで、膝関節の機能を維持するために欠かせないものです。
膝裏の構造
膝窩の上方内側には半膜様筋、外側には大腿二頭筋、下方には腓腹筋がつき、膝や足首の関節を動かす事に関係しています。筋肉や滑液包の他には筋膜、靭帯、半月板、皮膚、脂肪などもあります。
ランニングの時に膝の裏側が痛くなる原因
筋肉の過緊張と硬化
ランニング時の膝裏の痛みは、多くの場合、筋肉や筋膜の問題に起因します。特に以下の筋肉群が関係しています。
- ハムストリング(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)
- 腓腹筋(外側腓腹筋、内側腓腹筋)
これらの筋肉が硬くなったり、過度に緊張したりすると、膝裏に痛みや張りを感じやすくなります。
オーバーユース(使いすぎ)
ランニングなどの繰り返し動作により、膝周辺の組織に過度の負担がかかることで炎症が起こり、痛みを引き起こす可能性があります。
柔軟性の低下
筋肉の柔軟性が低下していると、ランニング中に膝に過度の負担がかかり、痛みを感じやすくなります。
走行環境の影響
硬い地面や下り坂での走行は、膝への負担を増加させ、痛みを引き起こす可能性があります。
その他の可能性のある原因
- 変形性膝関節症
- 靭帯損傷
- 半月板損傷
- ベーカー嚢腫
これらの疾患も膝裏の痛みの原因となる可能性がありますが、ランニング中に限定した痛みの場合は、筋肉や筋膜の問題である可能性が高いです。
対処法と予防
- 適切なウォームアップとストレッチ
- 徐々に運動強度を上げる
- 適切な休息を取る
- 柔らかい地面や平坦なコースを選ぶ
- 適切なランニングシューズの使用
痛みが持続したり、日常生活に支障をきたす場合は、整形外科医の診察を受けることをお勧めします。専門家による適切な診断と治療が、症状の改善と再発防止に重要です。
膝の裏側にある筋肉や滑液包、筋膜、靭帯、半月板、皮膚、脂肪などのうち膝の裏側の痛みに関係するものは筋肉や筋膜の可能性が高いです。
ランニング中に限らず膝の裏が痛む原因はには、この筋肉や筋膜の事が多く、筋肉が硬くなっていると膝の裏に痛みや張りを感じやすいです。
大腿二頭筋、半腱様筋・半膜様筋、外側腓腹筋、内側腓腹筋などの筋肉が関係しています。大腿二頭筋、半腱様筋・半膜様筋の大腿後面の屈腱筋で、ハムストリングとも呼ばれています。
大腿二頭筋、外側腓腹筋が硬い場合は膝裏や膝裏の外側が痛む事が多いです。
半腱様筋・半膜様筋、内側腓腹筋が、硬い場合は、膝裏の内側が痛む事が多いです。
その他に、変形性膝関節症、膝関節捻挫、靭帯損傷、半月板損傷、関節リウマチ、ベーカー嚢腫、深部静脈血栓症などにより膝裏周りのが痛くなることもあります。
変形性膝関節症
なんらかの原因により、膝の関節軟骨がすり減ったり弾力がなくなることで、関節が変形してしまうことをいいます。男性よりも女性に多く、さらに高齢者になるほど変形性膝関節症の罹患率は高くなります。
膝関節捻挫
靭帯損傷
膝の靭帯には外側側副靭帯、内側側副靱帯、前十字靭帯、後十字靭帯があり、膝周りに腸脛靭帯、膝蓋靭帯などがあり、 靭帯が損傷すると膝関節の痛み、膝関節の安定性の低下が起こります。
半月板損傷
半月板は膝関節の中にあり、弾力性のある軟骨(線維軟骨)でできています。半月板の働きは、関節に加わる体重の負荷を分散させるクッションの役割、関節の適合性や関節の安定化を図ることです。
この半月板に亀裂が生じたり、欠けたりする事で痛みが発症する事が半月板損傷で、年齢問わず若年から高齢者まで発症します。慢性化すると変形性膝関節症となる場合もあります。
主に、スポーツ時の膝関節への外傷で多く、膝をねじった時や異常な方向へ力が加わると起こりやすいく、膝の内側の半月板の損傷(内側半月板損傷)と膝の外側の半月板の損傷(外側半月板損傷)に分けられ、さらに断裂の形によっても分類されています。
関節リウマチ
関節リウマチは、原因不明の自己免疫性疾患で、慢性的に進行性の滑膜炎を伴うことが特徴の病気です。
免疫の異常により全身的な炎症を伴う病気をリウマチ性疾患といい、膝などの関節に炎症が起き、関節の痛み、腫れを起こる病気を関節リウマチと言います。
ベーカー嚢腫
ベーカー嚢腫は、膝裏に水が溜まる病気です。膝関節の周囲には滑液包、液体の詰まった小さな袋が多数あり、膝の裏にある滑液包に何らかの原因で液体が溜まってしまうことがベーカー嚢腫です。
(滑液包は腱や靭帯の周囲に存在して組織を滑らかに動かす役割を果たしています。)
ベーカー嚢腫はサイズが小さいものであれば痛みもないことが多いのです。しかし、大きくなると周囲の組織を圧迫し、膝の動きの制限や膝裏の痛み、膝裏の違和感、不快感などが生じることがあります。サイズは、大きい握りこぶし大の大きさとなる事もあり、皮膚の上からでも膨らみが分かることもあります。
大きさにより、膝を曲げる時に圧迫感を感じることもあります。
深部静脈血栓症
深部静脈血栓症は、足から心臓へと血液を戻す静脈血管に血の塊である血栓ができてしまい詰まる事です。
ふくらはぎや足の表面にある静脈だけに血栓ができた場合には問題となりませんが、下腹部~膝の中心のある深部静脈に血栓ができてしまうと場合によっては重症となり命を落とすような事もあります。
血栓が心臓や肺に向かって流され、肺の血管に詰まり肺塞栓症を引き起こすことがあります。
ランニングの時に膝の裏側が痛くならない対策(予防)
ランニングの時に膝の裏側が痛くなった時の対処方法
膝裏の痛みは膝裏周りの硬くなっている筋肉をほぐす事で和らぎます。膝裏周りの筋肉は、大腿二頭筋、半腱様筋・半膜様筋 、外側腓腹筋、内側腓腹筋の4つの筋肉です。
大腿二頭筋が硬くなると膝の外側、膝裏全体が痛みます。半腱様筋・半膜様筋が、硬くなると膝の内側が痛みます。外側腓腹筋が硬くなると膝の外側や膝裏全体が痛みます。内側腓腹筋が、硬くなると膝の内側が痛みます。
そのため、痛くなった場所にあわせて硬くなった筋肉をほぐすと痛みの軽減が期待できます。
痛みが内側か?外側か?裏側全体か?痛む場所によりほぐす筋肉が変わります。痛む場所が内側の場合には半腱様筋・半膜様筋を中心にほぐし、痛みが膝のの場合には外側大腿二頭筋を中心にほぐすと効果が上がります
筋肉をほぐす時には、筋肉全体を揉むのが有効的で、1つの筋肉を2〜3分かけて1日に、1〜3回揉むと有効的です。また、膝裏の筋肉のストレッチも有効で2〜3分かけて大腿二頭筋、半腱様筋・半膜様筋、腓腹筋などをゆっくり伸ばします。
その他に、膝裏と繋がっている筋膜をほぐす事もとても有効です。
その他の膝の痛みと原因
まとめ
マラソンやランニング、ジョギングの時に膝の裏側が痛くなった時には正しい知識を持って対処すれば早期に痛みがtれる可能性があります。