ランニングとダイエット〜生活習慣病予防〜

なにかのタイミングで、痩せるぞ!、ダイエットするぞ!と思った時に、その方法として、ランニング、ジョギングなどの、走るということを選択する人も多いのではないでしょうか?

ランニングなどのダイエットについて、ダイエット効果、正しいダイエット方法について紹介します。また、肥満についてもまとめていますので、ダイエットについて参考になればと思います。

ダイエットをする人のイラストです。男の人がランニング、ジョギングをしている様子のイラストです。
ダイエットをする人

肥満と肥満症

ダイエットの事を考える前に肥満、肥満症について簡単に知っているとダイエット効果も上がるのではないでしょうか。

ダイエットを行う人に必需品となる体重計のイラストです。体重計で日々の体重の管理を行うことも必要です。
体重計

肥満

肥満は、脂肪組織に中性脂肪が過剰に蓄積した状態で、糖尿病や脂質異常症などの代謝性疾患や、冠動脈疾患や脳血管障害、睡眠時無呼吸、腎障害、骨・関節疾患、月経異常など様々な症状を引き起こす原因となります。

肥満の定義には、BMIという数値が用いられています。BMIは、身長と体重から肥満度を示します。

肥満症

肥満症診療ガイドライン2016にある肥満症の定義として以下のような事が書かれています。

 肥満(BMI25以上)と診断された方の中で、以下のいずれかの条件を満たす場合、肥満症と診断し、疾患単位として取り扱う

  • 肥満に関連した健康障害を有するか、健康障害の合併が予測される場合で、減量を要するもの
  • ウェスト周囲長によるスクリーニングで内臓脂肪蓄積を疑われ、腹部CT検査によって確定診断された内臓脂肪型肥満

つまり、肥満症は、肥満があり肥満に関連する病気を合併しているものをいい、肥満自体も治療が必要となります。

主な肥満に関連する病気は、

耐糖能障害(糖尿病および境界型)

  • 耐糖能異常
  • 脂質異常症
  • 高血圧
  • 高尿酸血症・痛風
  • 冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)
  • 脳梗塞
  • 脂肪肝
  • 月経異常・不妊
  • 睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
  • 運動器疾患
  • 肥満関連腎臓病

などです。

耐糖能異常(impaired glucose tolerance:IGT)

耐糖能異常は、空腹時の血糖値が正常値と糖尿病と判断される値(異常値)の間にある状態のことをいいます。耐糖能異常の状態でを放置すると糖尿病になる可能性が高くなるため、糖尿病予備軍や境界型糖尿病と見言われています。

耐糖能異常となる原因は、体内のインスリンの分泌量が少ないやインスリンの働きが悪くなり血中の糖の量が増加することが原因となります。

簡単にいうと

  • インスリンが足りない
  • インスリンが効かない

の2つが原因となります。

空腹時血糖値は、通常食後10時間以上たった状態で計測します。多くの場合は、食事前や血糖値がもっとも低くなっている状態で判定します。正常値は、80mg/dl~99mg/dlで、耐糖能異常では、100mg/dl ~125mg/dlの値となります。(厚労省「特定健診・保健指導について」資料にて)

この状態が進行すると糖尿病につながるため、食事療法、運動療法、薬物療法などを行うことを検討する必要があります。

脂質異常症

脂質異常症は、血液中のコレステロールや中性脂肪が多すぎ、又は少なすぎる状態をいいます。
(従来使われていた高脂血症も脂質異常症に含まれます)

血液中の中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が基準値より高すぎ、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が基準値より低すぎると、動脈硬化となるリスク因子となりまするため、脂質異常症は、動脈硬化によって起こる心筋梗塞や脳梗塞などの原因となります。

高血圧

高血圧は、慢性的に安静状態での血圧が正常値よりも高い状態をいい、高血圧になると血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなり動脈硬化を起こしやすくなります。もし高血圧の状態を放置したままでいると、動脈硬化が進み、脳卒中、心疾患、慢性腎臓病などのな病気につながります。

血圧測定

高尿酸血症・痛風

高尿酸血症・痛風は生活習慣病の一つです。

高尿酸血症は血液中の尿酸の濃度を示す血清尿酸値が、7.0mg/dLを超えている状態と定義されており、高尿酸血症が続いた結果の1つとして痛風の症状が現れます。痛風とは体内の尿酸が過剰の状態が続き、足の関節などに尿酸の結晶が沈着して、関節に激しい炎症が急激に発症する病気です。

足の親指の付け根や足首の関節に炎症が起こり、激しい痛みや赤く腫れるなどの症状が現れたり、腎機能障害など、さまざまな病気の原因となります。 

冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)

冠動脈疾患とは、心臓の筋肉(心筋)自身への血液の供給が部分的又は完全に遮断される病気です。
心臓の筋肉(心筋)へ血液を運んでいるのは冠動脈で、冠動脈が狭窄や閉塞を起こしてしまうと、冠動脈疾患狭心症、心筋梗塞を起こす可能性があります。
日本では年間約3万人のかたが冠動脈疾患で亡くなられているといわれています。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が何らかの原因により詰まり、脳組織が壊死してしまう病気です。脳梗塞のおこる原因により、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞、ラクナ梗塞、その他の脳梗塞に分けられます。

  • アテローム血栓性脳梗塞:比較的大きな血管が動脈硬化によって、血管が狭窄したり閉塞したりして生じる脳梗塞
  • 心原性脳塞栓:心臓の疾患(弁膜症、心内膜炎、心臓腫瘍、心筋症など)が原因となり生じる脳梗塞
  • ラクナ梗塞:脳の奥にある太い血管から枝分かれした細い血管である穿通枝が詰まって起こる脳梗塞

脂肪肝

脂肪肝とは簡単に言うと、肝臓に脂肪が異常に蓄積されている状態です。
肝臓はエネルギー源として脂肪を作り肝細胞の中にためていますが、使うエネルギーよりも作られた脂肪のほうが多いと、肝細胞に脂肪がたまってしまい脂肪が蓄積します。蓄積により肝細胞の30%以上が脂肪化することを脂肪肝と言います。

過栄養や運動不足、肥満傾向のため脂肪肝の方は増加しており生活習慣病のひとつです。

脂肪肝の原因として

  • アルコールの飲みすぎ
  • 肥満、糖尿病

があります。

脂肪肝の初期症状は多くの場合は自覚症状がなく、ほおっておくと悪化してて肝臓の働きが悪くなったり、脂肪肝から慢性肝炎、慢性肝炎から肝硬変に至り肝不全や肝臓がんを発症することもあります。

月経異常・不妊

  1. ホルモンバランスの異常 月経異常や不妊の原因として、ホルモンバランスの異常が考えられます。例えば、卵巣機能の低下によって、卵子の成熟が不十分になり、排卵が不規則になったり、全く起こらなくなる場合があります。また、卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンの量が不足することによって、月経不順や無月経が起こることもあります。
  2. 精神的ストレス ストレスが原因で、ホルモン分泌に異常が起こる場合があります。精神的ストレスが長期間続くと、月経不順や無月経を引き起こすことがあります。また、ストレスが原因で卵巣機能の低下を招くこともあります。
  3. 疾患 子宮内膜症や子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、生殖器官やホルモンに関連する疾患が月経異常や不妊の原因となることがあります。
  4. 生活習慣 生活習慣の乱れが、月経異常や不妊の原因となることがあります。例えば、過度なダイエットや過剰な運動は、卵巣機能の低下や月経不順を引き起こすことがあります。

これらの原因の他にも、年齢や遺伝的要因などが関係している場合があります。月経異常や不妊の症状がある場合には、婦人科医師などの専門家の診察を受けることが大切です。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に一時的に呼吸が停止する症状が現れる睡眠障害の一種です。この症候群は、呼吸が数秒から数十秒間止まり、その後に再び呼吸が再開するという特徴があります。

主な睡眠時無呼吸症候群の種類には、閉塞性睡眠時無呼吸症候群と中枢性睡眠時無呼吸症候群があります。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea, OSA)は最も一般的な型で、喉の筋肉が弛緩して舌や扁桃腺が喉の中を塞ぎ、空気の通り道が一時的に閉塞されることによって引き起こされます。呼吸の停止は、通常の呼吸努力にもかかわらず、空気が通過しないために起こります。
中枢性睡眠時無呼吸症候群(Central Sleep Apnea, CSA)は中枢性睡眠時無呼吸症候群は、呼吸中枢の異常により、脳が十分な呼吸指示を送らないために発生します。喉や気道は開いている状態であるにもかかわらず、呼吸が停止します。

一般的な睡眠時無呼吸症候群の症状は

  • 一般的な睡眠時無呼吸症候群の症状は
  • 夜間の大きないびき
  • 眠気や疲労感の持続
  • 頭痛
  • 注意力や集中力の低下
  • 朝に喉の渇きや喉の痛み

などです。

睡眠時無呼吸症候群は、高血圧、心臓病、糖尿病などの他の健康問題と関連していることがあります。診断には、睡眠ポリソノグラフィ(睡眠検査)によって行われることが一般的です。

治療法は、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)装置の使用、口腔装置の睡眠中の口の位置を維持するための装置の着用、外科手術などがあります。

医療機関での生活習慣病管理

脂質異常症、高血圧症、糖尿病などは、生活習慣病といい、病院や診療所、クリニックの外来受診時に、生活習慣に関する総合的な治療管理がされるようになりました。

これは、2024年の診療報酬改定によるもので、生活習慣病患者に対し、患者の同意を得て治療計画を策定し、計画に基づいて生活習慣に関する総合的な治療管理を行う事で、病院側が加算料を患者からとるという制度です。

もともと、生活習慣病に対するこの制度はありましたが、脂質異常症、高血圧症、糖尿病は特定疾患として他の加算料を取ることができ、多くの病院、診療所は生活習慣病としての加算はとっていませんでした。今回の診療報酬改定で、脂質異常症、高血圧症、糖尿病が特定疾患から外れてしまったため、これらの疾患に対して生活習慣病の加算料を取ることにシフトすることになっているようです。

BMIと肥満度

BMIは、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。肥満度とは標準体重に対してどのくらい体重がオーバーしているかをパーセントで表したものです。

BMI

肥満度の判定には、国際的な標準指標であるBMIという体格指数が使われています。

BMIは、Body Mass Indexの略称で

[体重(kg)]÷[身長(m)2]

で求める事が出来ます。

男女ともBMIの標準とされる値は、22.0です。

この値は、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)にかかりにくい数値とされています。

BMIが、25を超えると脂質異常症や糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクが2倍以上になります。また、BMIが30を超えると高度な肥満として減量治療をより積極的に行う基準とされています。

日本肥満学会による肥満度分類

BMI(kg/m2)判定WHO基準
< 18.5低体重Underweight
18.5 ≤ BMI < 25.0普通体重Normal range
25.0 ≤ BMI < 30.0肥満(1度)Pre-obese
30.0 ≤ BMI < 35.0肥満(2度)Obese class I
35.0 ≤ BMI < 40.0肥満(3度)Obese class II
40.0 ≤ BMI肥満(4度)Obese class II
日本肥満学会からの参考資料

肥満度の計算

肥満度%=(実測体重-標準体重)÷標準体重×100

で求める事ができます。

日本肥満学会では、標準体重をもとに算出した肥満度±10%の範囲を普通としており、-10%未満でやせすぎ、20%以上で肥満となります。

( 標準体重 = (身長m)2 ×22 )

内臓脂肪と皮下脂肪

内臓脂肪型肥満

内臓脂肪型肥満は、筋肉の内側の腹腔内に脂肪が多く蓄積するタイプの肥満で、リンゴ型肥満ともいいます。皮下脂肪型肥満に比べ、糖尿病や高血圧、脂質代謝異常などの発症する確率が高いと言われています。

皮下脂肪型肥満

皮下脂肪型肥満は、腰まわりや太ももなど下半身を中心に皮下脂肪が多く溜まっているもので、内臓脂肪は比較的少ないタイプの肥満です。洋ナシ型肥満ともいいます。

脂肪の燃焼

食事からとり入れた脂質は、日常生活や運動で消費しますが、使いきれなかった脂質は中性脂肪に変換されて体の内に貯蔵され体脂肪となります。

体脂肪(中性脂肪)は、そのままでは燃料として使用する事が出来ず、体脂肪(中性脂肪)を燃焼させるためには中性脂肪を遊離脂肪酸に分解する必要があります。分解には、さまざまな酵素やホルモンが必要で、ホルモンの分泌は運動により促す事が出来ます。

また、分解された遊離脂肪酸をエネルギーに換えるためには酸素が必要となりますので、体内に多くの酸素をとり入れる有酸素運動がダイエットには向いているということになります。

有酸素運動

有酸素運動の方法と有酸素運動の効果について紹介します。

有酸素運動と無酸素運動

有酸素運動は、筋肉を収縮させる時のエネルギーに酸素を使う運動のことをいいます。

ジョギング、ランニング、水泳、サイクリング、エアロビクスなど負荷を少しかける動きをある程度の時間をかけながら行う運動をいいます。

無酸素運動は、筋肉に貯めてある糖質をエネルギー源とする運動をいいます。

短距離走や筋トレなどの高い負荷を短時間に集中的にかけて行う運動をいいます。

有酸素運動の効果

有酸素運動の効果は、脂肪燃焼、心肺機能の向上、基礎代謝の上昇、血圧の安定などがあります。

簡単にできる有酸素運動

簡単にできる有酸素運動の一つである、ランニング、マラソンを、マラソントレーニング〜有酸素運動と無酸素運動〜 で紹介しています。

ダイエットに効果的なランニング方法

2021-01-24マラソントレーニング

Posted by takacyan