マラソントレーニング〜ヤッソ800〜

ヤッソ800という練習方法は知っていますか?

Bart Yasso氏が考えたトレーニング法で、あるタイムに設定した800m走と400mのリカバリー走を1セットとして、10セット行うインターバルトレーニングをいいます。

ヤッソ800を行う目的

ヤッソ800は、マラソンや中長距離ランニングのトレーニング方法の一つで、800メートルの距離を繰り返し走るトレーニングです。ヤッソ800の目的は、800メートルを目標タイムで走ることで、それを基準にしてマラソンのペース設定をすることです。

フルマラソンの目標タイムから設定したタイムでヤッソ800を行った場合、10セットをやり切る事ができれば、フルマラソンが目標タイムで走れる、達成できるという指標となる練習方法です。

ヤッソ800の仕方

あるタイムに設定した800m走と400mのリカバリー走を1セットとして、10セット行うインターバルトレーニングで、あるタイムとはフルマラソンの完走タイム、目標タイムの時間、分を分、秒に変えて800メートル走の設定タイムとします。

ちょっと分かりづらいので、参考例をあげます。

フルマラソンのタイム(完走タイム、目標タイム)

4時間10分

ですと、

800メートル走のタイム設定は

4分10秒

フルマラソン3時間30分ですと800メートル走のタイム設定は3分30秒

フルマラソンサブ3(3時間)ですと800メートル走のタイム設定は3分00秒

となります。

400mのリカバリー走は、800m走のタイムでリカバリーします。

800メートル走のタイム設定が4分10秒であれば、リカバリー走の400mも4分10秒

800メートル走のタイム設定が3分30秒であれば、リカバリー走の400mも3分30秒

となります。

ヤッソ800のタイム設定一覧

ヤッソ800を行うときのタイム設定の一覧を表にしました。フルマラソンの目標タイムが2時間40分~7時間まで10分刻みで表にしてあります。800mタイム、リカバリーの400mの参考にしてください。

ヤッソ800を行うときのフルマラソンの目標タイム別の設定タイム表です。800mのタイムとリカバリーの400mのタイムを票にしてあります。
ヤッソ800の設定タイム表

ヤッソ800の効果

①呼吸循環器系。最大酸素摂取量の向上

②筋肉の代謝能力の改善

③レースペースよりも速いスピードで走ることによる「動き」の改善。


                               ~出典:ランネット~

ヤッソ800を行うことによる効果は、上記のような効果があると言われています。

最大酸素摂取量

最大酸素摂取量は、VO2MAXとも言われる指標で単位はml/kg/minuteです。

Vは量(volume)、O2は酸素(oxygen)、MAXは最大値(maximum)を意味します。

VO2MAXは、1分間にどれだけ多くの酸素を体内に取り込むことができるかを表し持久力の評価ができます。

VO2MAXの性別、年齢別の平均値を紹介します。

性別年齢VO2MAX(平均値)
男性18-3939ml/kg/minute
男性40-5935ml/kg/minute
男性60-6932ml/kg/minute
女性18-3933ml/kg/minute
女性40-5930ml/kg/minute
女性60-6926ml/kg/minute
最大酸素摂取量(VO2MAX)の平均値

筋肉の代謝能力

筋肉の代謝能力は、筋肉がエネルギーを生産し利用する能力です。この能力は、身体の基本的な代謝率(BMR)、体重管理、運動能力、総合的な健康に大きな影響を与えます。筋肉は、グリコーゲン(糖の蓄え)や脂肪を分解してATP(アデノシン三リン酸)などのエネルギー源を生成します。

基本的な代謝率(BMR)は、身体が安静時に消費するエネルギーの量を指し、筋肉組織が多いほど基本代謝率が高くなりカロリーを燃焼しやすくなります。筋肉の代謝能力が高いほど、体脂肪を減少させやすくなり体脂肪を減少させるのに役立つことになります。また、筋肉の代謝能力が高いと、筋肉がエネルギーを効果的に供給し疲れにくくなるため、より効率的に運動できパフォーマンスの向上につながります。

筋肉の代謝能力を向上させる方法は、運動や筋力トレーニングを行うことです。定期的なトレーニングは筋肉の質と代謝能力を向上させ、体重管理やエネルギーレベルの維持に寄与します。ランニングでは、高い強度のランニングを行うと筋肉に乳酸が溜まりますが、高い強度のランニングを繰り返し行うことで乳酸を再利用する能力が高めることができます。繰り返しにより乳酸が溜まりにくい筋肉へと改善していきます。

これは、ゆっくりのランニングではなかなか鍛えることができません。

動きの改善

動きの改善は、レースペース以下のペースばかり走っていると、自然とピッチが狭くなりスピードの出にくいフォームになってしまいます。レースペースよりも速く800mを走る事で、ピッチが広くなり大きな動きになる事が期待できます。

ヤッソ800を行う場所

ヤッソ800は、800m走と400mのリカバリー走のため、走る場所は、距離がわかる場所で走る事がオススメです。陸上競技場なトラックや距離表示がされているロードなどがオススメです。

陸上競技場では、一般的にはトラック1周が400mなのでヤッソ800をするのに最適な場所と思います。200m間隔で距離が分かりやすいためペース配分の確認がしやすいです。

距離表示のあるロードでは、多くは1000m毎、又は500m毎の距離表示なので、なかなか800m、400mの距離が分かるところはなかなかなさそうです。

ヤッソ800に挑戦した陸上競技場の写真です。
陸上競技場

その他として、GPS時計を使う事も可能ですが、距離に誤差が反映されて、距離がバラバラになってしまうこともあります。

ヤッソ800に挑戦

実際にヤッソ800にチャレンジしてみました。

設定タイムは、フルマラソンサブ3と言いたい所ですが、現在の走力を考慮して、3分30秒としました。

800mを3分30秒、レストの400mを3分30秒の10セットにチャレンジです。

回数800mのタイム400mのタイム
13分15秒3分25秒
23分21秒3分30秒
33分25秒3分29秒
43分31秒3分25秒
53分28秒3分35秒
63分40秒3分34秒
73分45秒3分50秒
8リタイアリタイア
9リタイアリタイア
10リタイアリタイア
ヤッソ800に挑戦

はじめの3セットはなんなくクリアしましたが、4セット目から少しずつつらくなり、7セット終わった時点で限界でした。

普段スピード練習していないためか、自分自身にはオーバーペースでした。でも、普段できない、普段走らないスピードで走る事にチャレンジした事に意義があるのかなと思います。

インターバルトレーニングを一人でするのにはいい練習方法だと思います。

まとめ

ヤッソ800は、フルマラソンの目標タイムから設定したタイムで10セットをやり切る事ができれば、フルマラソンが目標タイムで走れる、達成できるという指標となる練習方法です。
目標とする完走タイムに合わせて、効率的に練習を行うことができる、とても強度が高く効率的な練習方法の一つです。

インターバルトレーニングを一人でするのにはいい練習方法と思います。

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