ランニング中の怪我〜転倒による鼻骨骨折〜
顔面の骨は全身の骨のなかでも比較的骨折がしやすい所です。スポーツの最中に相手と接触したり転倒して顔をぶつける事で骨折することも多くあります。普段のランニングやマラソン大会の時にも、転倒などにより顔面をぶつけた時なに顔面の骨の骨折の危険性があります。
顔面の骨のなかで鼻の骨の骨折は頻度が多いため今回は鼻骨の骨折についてまとめました。
顔面の骨
顔面の骨は鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、前頭骨、側頭骨などがあります。
鼻骨骨折の概要
鼻骨は鼻中隔とともに鼻の上半分にある薄い骨です。薄い骨の為比較的弱い力でも簡単に折れてしまいます。スポーツやけんかで顔面に外傷を受けたとき、交通事故や転倒で顔をぶつけた時に鼻の周りに外力が加わった時に鼻骨の骨折は起こります。顔面骨折の中で最も多く報告されている骨折です。鼻骨の骨折が起こると、鼻すじの部分がくの字型に曲がったり、凹んだりします。時間が経つと腫れてきて、鼻すじの曲りや凹みはわからなくなってしまいます。
鼻骨骨折の分類
鼻骨骨折は骨折場所により、鼻中隔骨折と上顎骨前鼻棘突起骨折に分類されます。
鼻中隔骨折
鼻中隔骨折は、鼻中隔骨が損傷を受けた状態を指します。鼻中隔骨は、鼻腔を左右に分ける骨であり、通常、鼻腔内で呼吸を調節する役割を担っています。
鼻中隔骨折は、鼻に強い打撃が加わったときに発生することが多く、交通事故、スポーツのケガ、暴力などが原因となることがあります。鼻中隔骨折の主な症状は、鼻出血、鼻閉、鼻腔の痛みや腫れ、鼻づまり、くしゃみ、頭痛などです。
鼻中隔骨折の診断は、鼻の外観や内観を観察することで行われます。また、X線やCTスキャンなどの画像検査を行うこともあります。
治療法は、鼻中隔骨が正常な位置に戻るように、鼻を再調整することが必要です。これには、手術が必要な場合があります。手術によって、骨を固定するための金属プレートや針を使用することがあります。また、手術後には、腫れや痛みを和らげるために薬物療法が行われることがあります。
鼻中隔骨折は、適切な治療を受けないと、鼻出血や鼻腔の感染などの合併症を引き起こすことがあります。早期の診断と適切な治療を受けることが重要です。
上顎骨前鼻棘突起骨折
鼻骨骨折による鼻の変形の様子により、斜鼻型、鞍鼻型に分類されます。
斜鼻型
斜鼻型は、鼻の横から外傷を受けた場合に起こり、鼻筋が曲がります。
鞍鼻型
鞍鼻型は、鼻の正面から外傷を受けた場合に起こり鼻の付け根が陥没します。
鼻骨骨折の症状
鼻骨骨折が起きた時は多くの場合に鼻血がでます。その他に鼻筋が曲がる、鼻が低くなる、鼻が詰まるなどがあります。
また、折れた部分の圧痛を感じる事もあります。
骨折を疑う時には
顔面の骨、鼻骨の骨折を疑う時には、基本的には、形成外科、耳鼻咽喉科へ受診して診断を受けて下さい。病院では、鼻骨骨折、鼻中隔の骨折、鼻骨鼻中隔の彎曲、粘膜の腫れ、血腫の有無を確認します。鼻中隔の血腫がある場合は、放置しておくと鼻中隔穿孔や壊死を起こすことがあるため血腫を取り除く処置が必要となります。
鼻の変形や鼻づまり、においがわからないなどがある場合には鼻骨形成などの処置が必要となる場合もありますが、鼻の変形や鼻づまり、においがわからないなどの症状がない場合には特に処置がいらない場合が多いです。
また、鼻骨骨折の時には、鼻の奥にある頭蓋底の骨折も認められる場合があり、頭蓋底の骨折があると、嗅覚が無くなったり、脳の周囲の髄液が鼻を通って漏れたりする事があります。さらに、髄膜炎や脳膿瘍を起こす場合もあります。
その他の顔面骨の骨折
鼻骨の骨折以外に顔面の骨の骨折には、眼窩吹き抜け骨折、頬骨骨折、側頭骨骨折、下顎骨骨折などがあります。
顔面骨骨折が生じやすい部分、前頭骨、眼窩、鼻骨・篩骨、頬骨、上顎骨、下顎骨があります。
眼窩吹き抜け骨折
眼窩吹き抜け骨折は、眼球が入っている眼窩の骨折です。目の周りの腫れたり、眼球が凹むことがあります。また、視野狭窄や、複視などの症状が現れることもあります。
眼窩の内側、底側は薄い骨で覆われています。薄い骨の眼窩内側や眼窩底は強い圧力がかかると比較的簡単に骨折してしまいます。特に、副鼻腔に吹き抜けるような骨折は、眼窩吹き抜け骨折(ブローアウト骨折)ともいわれ骨折の部位から眼窩内の脂肪組織などの眼窩内容物が副鼻腔内に脱出する眼球陥凹や、複視が起きたり、吐き気を催すこともあります。
頬骨骨折
頬骨骨折はほほの骨の骨折です。ほほが凹んだり顔貌が変化することがあります。また、骨折により口が開けにくくなる等の症状が現れることもあります。
側頭骨骨折
側頭骨骨折は、頭の側頭骨の骨折です。鼓膜の損傷や、耳からの出血、聴力や平衡機能の異常などの症状が現れることもあります。
下顎骨骨折
下顎骨骨折はあごの骨折です。口が開けにくくなったり、ものが噛めないなどの症状が現れることもあります。