顔面の痺れ〜顔面神経麻痺〜
顔面神経麻痺は、顔の表情を作る筋肉を支配する顔面神経の障害によって引き起こされる症状です。片側の顔の動きが制限され、日常生活に支障をきたすことがあります。顔面神経麻痺について詳しく解説します。
本ページでは、顔面神経麻痺の主な症状、原因、そして効果的な治療法をわかりやすく紹介します。さらに、マラソンやランニングなどの激しい運動と顔面神経麻痺の関連性にも焦点を当てます。ランナーの皆様に特に注目していただきたい、運動中の発症リスクや、顔面神経麻痺がマラソンなどのパフォーマンスに与える影響についても解説しています。
顔面神経麻痺とは?
顔面神経麻痺は、顔の表情を作る筋肉を支配する顔面神経が障害を受けることで発症する病気です。この神経は脳から出て耳の奥を通り、顔の表情筋に信号を送る重要な役割を担っています。何らかの原因で顔面神経が損傷を受けると、顔の筋肉が正常に動かなくなり、様々な症状が現れます。
主な症状には、目を閉じられない、口角が下がる、食べ物や飲み物がこぼれやすくなるなどがあります。原因としては、ベル麻痺(原因不明の突発性麻痺)が最も多く、次いでラムゼイ・ハント症候群(帯状疱疹ウイルスによる麻痺)があります。その他、外傷、中耳炎、脳腫瘍なども原因となることがあります。
顔面神経麻痺の症状
顔面神経麻痺の症状は通常片側の顔面に現れます。症状は多岐にわたりますが、主な症状としては以下のようなものがあります。
- 顔の片側が動きにくくなる
- 目を完全に閉じられない
- 口角が下がる
- 食べ物や飲み物がこぼれやすくなる
- 表情を作ることが困難になる涙の分泌低下
- 味覚障害
- 聴覚過敏
顔面神経麻痺の原因
顔面神経麻痺の原因は多岐にわたりますが、主に以下のようなものがあります。
- ベル麻痺(原因不明の突発性麻痺)
- ウイルス感染:単純ヘルペスウイルス(HSV)や水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)
- 外傷性顔面神経麻痺
- 中耳炎
- 脳腫瘍
- 自己免疫疾患
ベル麻痺
ベル麻痺は、顔の表情を作る筋肉を支配する顔面神経が突然障害を受けることで起こる症状で、片側の顔面に影響が現れ、日常生活に支障をきたすことがあります。正確な原因は不明ですが、ウイルス感染や免疫系の問題が関与していると考えられています。診断には、症状の観察、血液検査、MRI検査などが行われます。一般的な治療法はステロイド薬の投与や抗ウイルス薬の使用、顔面筋のマッサージや運動療法などです。
ベル麻痺の代表的な症状には
- 顔の片側が動きにくくなる
- 目を完全に閉じられない
- 口角が下がる
- 食べ物や飲み物がこぼれやすくなる
- 涙の分泌低下
- 味覚障害
などがあります。
ベル麻痺の多くは3週間から3ヶ月程度で回復しますが、症状が長引くこともあります。予防、発症リスクを下げる方法としては、十分な休息、ストレス管理、寒冷暴露を避ける、基礎疾患(高血圧、糖尿病など)の適切な管理などです。
ウイルス感染:ラムゼイ・ハント症候群(耳性帯状疱疹)
ラムゼイ・ハント症候群は、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって引き起こされる神経疾患です。このウイルスは水ぼうそうの原因ウイルスと同じで、神経節に潜伏していたウイルスが再活性化することで発症します。診断には、症状の観察、MRIやCT検査(顔面神経の腫れの程度を確認)、血液検査(ウイルス抗体価の確認)などが行われます。一般的な治療法は、抗ウイルス薬(アシクロビルなど)の投与、ステロイド薬の投与、
痛み止めの使用などです。
ラムゼイ・ハント症候群の代表的な症状には
- 顔面神経麻痺(顔の片側の動きが悪くなる)
- 耳周囲の痛みや水疱
- 耳鳴り
- 難聴
などがあります。
ラムゼイ・ハント症候群は、約60%が完全または部分的に回復、約30%が中程度から重度の後遺症を経験、
約10%がほとんど回復しないといわれています。
予防、発症リスクを下げる方法としては、帯状疱疹予防ワクチン(50歳以上の成人を対象)(2回の接種で10年以上効果が継続し、90%以上の発症予防効果があるとされています。)の接種です。
外傷性顔面神経麻痺
外傷性顔面神経麻痺は、事故や怪我によって顔面神経が損傷を受けることで発症する症状です。適切な診断と迅速な治療が重要となります。
外傷性顔面神経麻痺の主な原因には
- 交通事故
- 転落事故
- スポーツ外傷
- 脳腫瘍の手術による合併症
があります。特に、側頭骨骨折や顔面の深い切り傷が顔面神経を損傷する可能性が高いです。
外傷性顔面神経麻痺の主な症状には
- 顔の片側が動きにくくなる
- 目を完全に閉じられない
- 口角が下がる
- 食べ物や飲み物がこぼれやすくなる
- 表情を作ることが困難になる
があります。外傷性顔面神経麻痺の診断には、症状の観察の他に、CT、MRI検査などが行われます。
マラソンやランニングと顔面神経麻痺
マラソンやランニングと顔面神経麻痺の直接的な関連性があるという情報はありませんが、以下のような関連性が考えられます。
- 過度の運動や疲労が免疫系に影響を与え、ウイルス性の顔面神経麻痺のリスクを高める可能性がある。
- 屋外での長時間の運動による寒冷暴露が誘因となる可能性がある。
- 顔面神経麻痺の回復期には激しい運動を避け、適切なリハビリテーションと休息が重要である。
(※これらの関連性は推測的なものであり、顔面神経麻痺とマラソンの直接的な因果関係を示す科学的な証拠はありません)
顔面神経麻痺の治療
顔面神経麻痺の治療は、原因に応じて異なりますが、一般的には以下の方法が用いられます:
- ステロイド療法:炎症を抑えるためにステロイド薬が使用されます。
- 抗ウイルス薬:ウイルス感染が原因の場合、抗ウイルス薬が投与されます。
- 理学療法:顔の筋肉を再訓練するためのリハビリテーションが行われます。
- 手術:腫瘍や外傷が原因の場合、手術が必要となることがあります。